「木材・木製品製造業」の概要と将来性

年々縮小傾向にある木材需要

木材・木製品製造業は、古くからある日本の建築様式を支える重要な産業の一つでした。
しかし都心部などでは高層ビル建築が増加したことなどもあり、木材全体の需要は年々縮小傾向にあります。
林野庁では毎年木材の需給状況を調査し公表しているのですが、その表からも国内における木材関連産業の縮小傾向は明らかです。

日本の国土には数多くの森林があるので木材もそこで採取されているように思いますが、実は木材の国内自給率はわずかに31%程度であり昭和63年よりずっと30%以下となっていたのが実情です。
ここ最近では木材全体の需要が低下したことと、自給率を高める政策がとられるようになったことで少しずつ回復傾向にあります。

ちなみに国内での木材需要の内訳は昭和までは製材用材が最も多かったのですが、ここ近年では製材用材は急激に減少しており、変わってパルプ・チップ用に使用される割合が高くなっています。
他にも合成用材やその他の用材(しいたけの栽培など)にも使用される木材があります。

製材用として出荷された木材の約8割は建築用に使用されていますので、やはり戸建住宅の建築着工数が減少していることがそのまま木材の需要に反映されていると言ってもよいでしょう。

第一次産業の従事者は減少中

林業だけでなく、第一次産業として分類される業界では軒並み従事者の不足が問題になっています。
木材や木製品を加工する仕事をまとめて林業といいますが、現在林業従事者の多くが高齢化を迎えており若手をいかにして確保するかが全国的な課題です。

林業に従事するためには、全国各地にある森林組合に加入するか、もしくは民間の林業関連企業に就職をするという形になります。
他にも第3セクターの職員となるなどの方法もありますが、全体数としては森林組合に加入するのが一般的です。

森林組合というのは森林資源のある土地で林業を行う業者が作っている組織団体のことで、森林所有者からの依頼を受けて現地に行き、そこで伐採や加工などの仕事をしていきます。
森林所有者は個人の場合だけでなく国や都道府県、地方自治体からといったことも多いので、実質的には公共のための仕事をすることになります。

樹木の伐採や加工は危険を伴う作業でもあるので、有資格者でなければ行うことができない業務が多数あります。
逆に言えば早くから林業に従事し早めに資格を取得することにより、排他的で安定的に業務をしていくことができるということです。

業界全体の需要は低下傾向にありますが、後継者不足のため職業としての間口は相当広く、年齢が若い人ほど受け入れてもらえる場所は多くなります。
都道府県の林業労働力確保支援センターでは体験コースもありますので、まずはそちらで林業を知るというのもよい方法です。