「家具・装備品製造業」の概要と将来性

都心部では競争激化も市場は縮小傾向

家具・装備品製造業は住宅内や会社内で使用される家財道具を全般的に扱う産業です。
家具業界といえば老舗大手の大塚家具がお家騒動を起こしたことで耳目が集まりましたが、これも家具・装備品業界が大きな転換期を向かえているということの裏返しと言えます。

業界全体の概況を見ていくと2006年ごろから家具雑貨類の市場は大きく落ち込んでおり、ここ数年でやや持ち直しの動きが見られてはいるものの、以前までの市場規模を回復するのは難しいという印象です。

これは住宅着工数の減少とリンクをしており、引っ越しのタイミングで家財道具一式を買い直すことが多い家具類は引っ越し件数が減少することにより必然的に減少していくことになります。

一方でニトリホールディングスやイケア・ジャパンなどの比較的安価で使いやすい家具メーカーが数多く出店をするという動きがあり、特に都心部においては激しい競争が起こっています。
そこに良品計画やロフト、東急ハンズといったような雑貨メーカーやホームセンターが競争に参加してきたことにより、需要の低下とは裏腹に厳しい競争状態が続いていくことになりそうです。

ニトリ型の成長戦略が全体に波及しつつあります

家具や装備品メーカーの中でもここ数年で急激に存在感を増したのはやはりニトリホールディングスでしょう。
ニトリの成長戦略となっているのは材料素材や工場生産、パッケージング、流通、販売までの一連の流れを全て自社内で行うということです。

このシステムのよいところは実際に店舗で販売された製品についての消費者からのフィードバックをそのまま次の製品開発に利用することができるということです。
またニトリは当初郊外への出店をメインに行ってきましたが、2015年4月に銀座の百貨店内に店舗を開業しており今後も都心部での販売実績を増やそうという方針が見られます。

しかしながらニトリでは家具製造自体は海外で行うというケースが多く、国内における家具製造業に直接的な影響をもたらすことはないと言えます。

日本各地には伝統工芸として家具類を製造する業者が数多くありましたが、イケア・ジャパンの出店など海外製品が安価に購入できるようになったことにより国内での家具製造は年々縮小してきています。

家具全般産業の事業者数や従業員数は急激に減少傾向にあり、1985年時点で2万近くまであった事業所は2009年には7500程度にまで落ち込んでしまいました。

一方で生産から販売までを全て国内で行うカリモク家具のような成功例もあり、独自路線を貫くことで成功している家具製造業も存在しています。
カリモク家具では徹底した工場内の品質管理が行われており、無駄のない生産ラインは国内の他の産業と比較してもかなり高度なものです。