「パルプ・紙・紙加工品製造業」の概要と将来性

生活に欠かせない紙製品の製造

製紙産業は木材を原料にしたパルプに古紙として回収したものを混合し、新たな紙製品として製造をしていきます。
紙は私達の日常生活に欠かせないものであり、ノートブックやメモ用紙のような書類の他、ティッシュペーパーやトイレットペーパーのような生活用品として使用されます。

ここ近年ではIT化によってオフィスのペーパレス化が進んでいますが、現在の国内産業においては生産品のメインは生活に必要な紙類であるため、製紙産業全体としては影響は限定的と言えます。

他の工業製品は輸出による売上が経営に関係をしてきますが、紙・パルプ業界はほぼ完全な内需型産業として成り立っており安定的な業界であると言えます。

しかしながら人口減少や書籍類の減少は今後の製紙業界の先細りの懸念材料となっているので、ほとんどの製紙産業企業は海外へ工場を作ったり、バイオマス発電といったエネルギー事業に進出したりと経営の多角化をはかっています。

代表的なのが王子ホールディングスがニュージランドとオーストラリアの企業を買収したことで、現地での製紙産業を受けることができるようになりました。
他にも海外の工場を買収したり新たに工場を作ったりと、アジア圏を中心に進出攻勢を強めています。

今後国内市場の縮小が加速する恐れ

日本国内の製紙産業は世界的に見ても大変品質が高く、特に紙おむつや生理用品のようなサニタリー製品については諸外国から高い評価を得ています。
そのため海外に工場を進出したときの需要はかなり高いと言えます。

日本国内の大手製紙メーカーとしては、王子製紙や丸紅紙パルプ販売、日本製紙、レンゴーといったところがありそれぞれ自社の得意分野があるのですが、業界全体の流れは概ね同じです。

そのため今後は国内の製紙工場での採用も少なくなり海外での事業展開がメインになっていくことが予想されます。
実際他の業界と比較してパルプ・紙製品の工場からの求人数は減少傾向にあり、もし就職をしても事業展開によっては当初考えていた業務以外の分野に異動になる可能性があります。

就職を考えるならそれぞれの製紙メーカーの特徴や今後の展開についてよく考え、その上でどの企業に応募するかということを選ぶのがよい方法と言えます。

いきなり正社員として採用されるのが難しいようなら、繁忙期に短期で募集されるものから経験をしてみるということもできます。
短期でも複数の製紙業界の生産ラインを経験することができれば、求人への募集が有利になります。

製紙工場のラインは浄化槽などの独自の機器を使用していますので、それらの操作方法を覚えることができれば即戦力として優遇をされることでしょう。
また業務ラインではフォークリフトが多様されるので、早めに資格を取得しておくと便利です。