「食料品製造業」の概要と将来性

海外展開が全体的に進んでいます

食料品製造業は、世界的に評価の高い日本の食というトップクラスの品質を誇る産業です。
しかしながらここ近年では国内での食料品製造工場は軒並み海外への進出を強めており、国内での工場施設は全体的に縮小傾向にあります。

食料品に関してはその時期の政策が産業に大きな影響を与えることになるのが特徴です。
特に原材料として使用される大豆や小麦、油などは国内自給率の関係から制限がかけられるようになっており、国内自給率が1割程度にとどまる小麦においては企業が独自に輸入をするのではなく一括して政府が購入たものを各社に卸されるという形になっています。

海外からの輸入依存度が高いということはそれだけ為替の影響を受けやすいということにもなり、仮に需給状態が一定であっても仕入れ価格が変動することにより販売価格にも影響が出てくることになります。

そうした為替リスクの低減といったことと、少子化による国内市場の縮小の影響により、食品メーカーは全体的に海外への進出を加速させています。
製粉大手は海外展開を進めるとともに国内工場の統合を進めており、業界全体は多角化と縮小化が進んでいるとまとめてもよいでしょう。

国内の食品メーカーでは人手不足も

海外への展開が進んでいる一方で大きな問題になっているのが国内の食品メーカーでの人手不足です。
食品加工業は畜産や水産品を加工する第2次産業を始めとし、調味料製造や製粉といった材料加工や、パンや麺などそのまま食べられるように加工する工場など多岐にわたります。

飲料水や酒類なども食品加工業の一分野として含まれるので、統合傾向にあるとはいえ全国各地にある食品加工業が突然なくなるということはありません。

日本ハムや明治ホールディングスなどの全国展開をする有名食品加工業の他にも、ここ最近では地域の特産品を独自の技術で加工する土産物産業としての工場も増えているのが特徴で、長期保管や流通の簡便さといったこれまで課題となってきたことをあえて行わない地産地消の動きが見られています。

こうした多様化の動きの裏で起きているのが人材の不足で、同じ短期の生産ラインの人員募集を見ても食品加工業は全体的に給与水準が高くなっています。
食品の生産ラインは他の産業と比較してかなり衛生面の制限が厳しく、ちょっとしたミスが大きな企業イメージの損失になってしまうこともあります。

それまで順調に売上を伸ばしてきた企業が工場内の異物混入によって一気に赤字経営になるというような事例も見られており、それだけに生産ラインで勤務をする人員一人ずつの責任は重いと言えます。
食品業界でのキャリアアップには世界的な食品衛生基準の理解などの学習が必要となりますので、関連資格を取得することがすすめられます。